賃貸併用住宅で相続対策
賃貸収益を活かした『遺産分割』対策

遺産相続の実情

相続対策には税金対策に加え、残された遺族が争うことなく円満な遺産分割ができるよう対策を講じておくことは、大切なことです。
相続争いは多くの財産を所有する資産家のことと思いがちですが、実は家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割に関する相談件数の内、概ね75%が、遺産総額5,000万円以下のケースで起こっています(図(1)参照)。

図(1)家庭裁判所における遺産分割事件の遺産価額割合

図(1)家庭裁判所における遺産分割事件の遺産価額割合

※ 資料:裁判所司法統計「平成28年度家事事件編」に基づく

代償分割で円満な遺産相続

現金預金や株式・有価証券など分割しやすい財産であれば問題ありませんが、相続財産の多くの部分が自宅の土地・建物といった分割しづらい財産になっていることがあります。
都市部に自宅を所有するだけで5,000万円相当の財産評価となることも多く、現実的にはその自宅を売却して代金を平等に分け合うという分割方法もありますが、ひとりの相続人がその自宅に住み続けるような場合には売却することもできません。このような場合の解決策のひとつとして『代償分割』という方法があります。

代償分割とは、自宅など分割しづらい相続財産の多くの部分を相続する人が、自分の固有の財産から他の相続人に対して金銭(代償金)などを交付することで、円満に遺産分割を解決する方法です。必ずしも財産評価が平等にならなくても、不公平感を少しでも和らげることができます。(遺留分※相当額に配慮しながら代償額を決めることもひとつの方法だと思います。)
※図(2)のように、遺産分割事件の内、代償金を支払って解決される割合が62.7%と、概ね3分の2が代償分割で相続争いを解決されている実態が⾒えてきます。

図(2)遺産分割事件の内、代償金を支払う旨の定めがされた割合

図(2)遺産分割事件の内、代償金を支払う旨の定めがされた割合

※ 資料:裁判所司法統計「平成28年度家事事件編」に基づく

※遺留分とは、相続人が相続できるものとして⺠法で保障されている最低限の財産です。その遺留分の割合は、相続人が直系尊属のみの場合は、相続財産の1/3、配偶者及び子の場合は相続財産の1/2です(兄弟姉妹には遺留分はありません)。

たとえば、評価額3,000万円の不動産を3人の相続人(子A,子B,子C)のうち子Aが単独で相続する場合、子Aが自分の財産から、子B、子Cにそれぞれ1,000万円の金銭等を渡すことで、子Aがこの相続で得る正味財産は1,000万円(3,000万円−2,000万円)となり、結果的に3,000万円の財産が3人の相続人に1,000万円ずつ公平に分割されたと考えます。この場合、1,000万円をもらった子Bと子Cには贈与税の課税が懸念されますが、遺産分割協議書の中で代償分割による金銭等の交付である旨を明記することで、贈与税が課税されることはありません。

注意すべき点は、子Aが相続する財産以上に子Bと子Cに金銭等を渡す場合には贈与税がかかります。また不動産等を代償財産として渡すこともできますが、代償債務を支払うために不動産等の移転(譲渡)があったとみなされて譲渡所得税が課税されますので注意が必要です。

賃貸併用住宅で相続対策

さて、代償分割を⾏なうには子Aが代償金を準備する必要があります。先述の例のように、それぞれの取得財産を公平なものにするには2,000万円の資金が必要になります。 それより少ない金額で合意することができたとしても、ある程度まとまった金額を用意する必要があり、子Aにとっては大きな負担となります。

その代償金の準備として、効果的に利用されるのが生命保険です。被相続人を被保険者とした終身保険などで、納税資金や代償金を準備することが相続対策としてクローズアップされてきています。 ただ、相続対策として高齢の方を被保険者とするため、保険料も高額となってきます。

そこで、その保険料の捻出を可能にするのが賃貸併用住宅です。賃貸部分で得られた収益を保険料に充当して、納税資金や代償分割のための資金を準備することができます。

賃貸併用住宅は、長寿化時代の将来への備えとして、相続対策をはじめ老後対策におけるさまざまな課題解決してくれるシニア世代の住まいづくりと言えるでしょう。

監修/FPオフィス東京
ファイナンシャルプランナー 川嵜 信⼆